地元・ヨソモノ・若者をつなぐ、地域プロジェクト五日市ごえん分校 建築家さんと考える~商店街エリアリノベーション!~開催レポート

2014年4月に東京都あきる野市五日市で開催された野外音楽フェス「OTODAMA FOREST STUDIO」。その運営メンバー・ボランティアスタッフの「五日市をもっと楽しい街にしたい」という思いから生まれた「五日市ごえん分校」。4年目を迎える今年度第1回目、「建築家さんと考える~商店街エリアリノベーション!」を開催しました。

ブリコラージュ〜残さざるをえない状況から、残したいと思う状況へ〜

 上は70代、下は学生まで、老若男女20人を超える人が集まった今回。前半に建築の考えをベースにしたエリアリノベーションの講義、後半は商店街のフィールドワークを経て、みんなで商店街のアイデアを考えました。ゲストは若手建築家 能作淳平さん( http://junpeinousaku.com/info/)。ご家族があきる野市出身で、あきる野にも親近感を感じてくださっているとか。前回ゲストの鳥巣オーナーのさんごさん( http://sangosan.net/)を設計されています。

 最初に手がけたリノベーションが、東日本大震災の直後に施工することになった都心のマンションのリノベーション。一時的に木材が足りなくなり、床や壁、天井をはがして床材廃材をリユースせざるを得なくなることに。でも作って見みると案外しっくり。いい味を出してくれて完成。いわば「残さざるをえない状況」でしたが、つくりかた次第で自由にできるんだと感じ始めます。

 その後、高岡の戸建ての増築リノベーションをきっかけに、「残さざるをえない状況から、残したいと思う状況に」。既存の瓦屋根をそのまま移築・利用。周りの瓦屋根の家と馴染む建築ができあがりました。そして、驚くことに、屋根の移築ができたときに拍手歓声があがったそうです。

”建築の工事は昔よりは簡単になっていて、もう新築を建てても、昔みたいに餅投げをやったり、盛大にお祝いなんてしないんで…。ちょっと感慨深いものがありましたね。”またこのプロジェクトを通して”いらないとみんなが思っていたものでも、残してみることが大事だと実感しました。”

 長崎の五島福江島の図書館、さんごさんでは、スタッフの1人に住んでもらい、地元にとけ込んでもらいながら設計をしてみることに。そしてスタッフに課せられたお仕事は“日報の代わりにブログを書くことです(笑)。
島に行ってみて思ったのが、さんごや溶岩など、島にはいろんなものが残っているということ。しかし、一方でそれでも高齢化や過疎化で消えかかっていたり。そこで、このプロジェクトでは島にあるものを使って建築を作れないかと考えました。そしてただ残すというより、島のモノや技術と新しいものを使って建築をつくろうかと。島の文化を次の世代や、訪れた人たちに伝えられたらと思いを込めました。”モノにはその土地のプライドがうつりこむのでは、と考えました。

 最後の事例の場所はあきる野市にあるニュータウン。ニュータウンのイメージは、区画整備され、あまり人間的ではない、というのが定説。能作さん自身も、昔の街並の方が情緒があって良い、と考えていたそうです。でも実際に歩いてみると、とても魅力的な空間になっており、同じ家に見えても、植栽、ベランダのつくりなど、住んでいる人が長年かけて少しずつリフォームしていることが判明。建物部分は統一されたイメージがありながらも、長い時間のなかでベランダやカーポートなどをリフォームしてカスタマイズすることで、独特の表情を見せ、差異がわかる。能作さんも、そんな空間の作り方に習って設計に入ります。お客さんからのオーダーは「みんなでお茶ができるスペースがほしい」。

“全体性(同じもの)に個性をくっつけることで、多様性が生まれ、町の面白さ、味わいにつながってく。つまり、同じような建物でも少し手を加えるだけで、個性的なスペースが町の中に点在していく…そんな構想をしています。”
※ブリコラージュとは…Bricolage(仏)、寄せ集めて自分で作ること・ものを自分で修繕すること・理論や設計図に基づいて作る近代的な「エンジニアリング」とは対照的な手法

エリアリノベーション〜設計の考え方とまちづくりの考え方は似ている〜

モノの作り方には、大きく3つのアプローチ方法があると考えます。
①ないものでないものをつくる ②あるものであるものをつくる ③あるものでないものをつくる
これを家づくりに当てはめると、
①新築 ②中古購入 ③リフォーム・リノベーション
になり、そして、まちづくりに当てはめると
①再開発 ②保存・景観保護 ③エリアリノベーション
と言えるかもしれません。つまり、建築の経験や考え方はまちづくりにも活かしていける。
“町おこしをソフトだけで考えると、定着しづらく、どこも同じような取り組みになってしまう。一方で、その場所に根付いているものを掘り起こすことが大事だと考えています。”

お客さんたちも、能作さんの講義に対して、絶えずメモをされたり、集中して聞き入ったり、なるほど、とうなずいたり、みなさんの熱心な姿が印象的でした。

まちあるき〜あるもの×ないもの=新しいアイデア になる〜

後半では実際に商店街のまちあるき。能作さんオリジナルシートに記入をしていきます。内容はシンプル。
①町にあるもの ②町にないもの・自分がほしいもの ③ ①×②=のアイデア

“まちづくりは漠然としていて掴みづらい印象があると思います。あるものを使って、ないものをどうやってつくるか。ブリコラージュするか。寄せ集めのもので自分がほしいものをつくれるんじゃないか、という仮説を立てると、イメージしやすくなります。”

 地元の人とヨソから来てくれた人でチームをつくり、地元の人の解説を聞きながら町歩きです。昔はあったけど今はないものが多く、時代の変化とともに消えていったものなどを聞くと、1人で歩くのとは違った視点で見えるようです。

 戻ってきて2手に分かれ、まずは①、次に②、と個々の意見をまとめてきます。 最初はアイデアなんて出るのかな…とちょっと不安そうだった方々も、最後の③ブリコラージュの段階に入ると大盛り上がり。「①自然 ②本屋 で、③森の中の本屋さん!」など、次々とアイデアが浮かび、時間があっという間に過ぎていきます。

参加者の意見は次の3つ。
“①五日市は、アウトドアや自然など、ソフトはある、一方でそれに対する施設などのハードがない。
②ないものの中には、かつてあったものもあるが、それは自然に関連していない、パチンコやボーリングなどの娯楽施設。淘汰されたということは、必要とされていないので、それらを再びつくるのではなく、今、求められているものー自然に関するものを伸ばしていったらいいのではないか。
③以前あった(けど今はない)ものの中では、今なら必要だと言えるものもある。町がコンパクトになってきたので、回遊性を促すものは復活させてもよいと思う。”

出てきたアイデアの一部:※①あるもの ②ないもの ③新しいアイデア
①景色×②駅前のカフェ=③フォトジェニックな景色が撮れるカフェ
①サイクリスト×②インフラ=③電動自転車を含むレンタサイクル
①魅力的なもの×②町の色・お土産屋=③お土産に付けるロゴや町で統一されたアイコン
①近所付き合い・人×②多世代のつながり=②多世代バージョンの児童館的施設
①木材×②ベンチ=③町中の座れる場所

最後に能作さん
”五日市、進んでるなあ!と思いました。ご年配の方も元気だし、若い人もたくさん。色んなところでイベントだったり、まちづくりの動きがあるのがすごい。これからもっともっと面白く、良くなっていく気配がある。ないものでないものをつくるのは大変。でも、あるものでないものをいかに作るかを考えていければ、アイデアが生まれ、まちは変わっていくと思います。”

今回学んだまちづくりのアイデアの考え方、色んなことに応用できそうです。たくさんの”ある”ものがある五日市、きっと今ないものもも素敵なかたちで生まれて来るのでは、そんな期待が膨らみます。

次回は7月23日、地元の人たちに秋川渓谷の常識!?「川遊び」を学びます。

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ごえん分校とは
東京の五日市で、ジモト・ヨソモノ・ワカモノがゆるやかに集まってくる場づくりを目指し、「“ヒト”と“マチ”のご縁をつくる」をコンセプトに活動をおこなう団体。

■2017年ごえん分校の取り組み予定

①古民家活用プロジェクト〜壱番館〜
寄席・ヨガ教室・ダンス教室・体操のクラスなどで活用中。
※今年度限定!2階の利用料は無料です。お気軽にお問い合わせください。
info@goen-bunko.com

②商店街活性化プロジェクト〜商店街フェス〜
商店街の店舗をお借りして、ミュージシャンによるライブを同日開催!お客さんたちが五日市商店街を練り歩き、五日市が音楽に包まれる一日。次回は秋開催予定!

③「人」と「思い」を魅力/商品にした五日市観光WEBメディアの制作〜五日市singles〜
あなたの友達が五日市に遊びに来たらどこを案内しますか?という質問をベースに、ジモトのヒトが案内したい五日市を巡る旅を紹介。観光スポットの紹介だけでなく、お勧めルートも作成。地元の人ならではの情報と、五日市の魅力をお伝えします。今夏OPEN予定!

④ビジネスコンテスト〜五日市で仕事をつくる〜
豪華(?)ゲストをお呼びして、ビジネスの種を育てよう!というイベントを今秋開催予定です。

⑤まちのことを学ぶ場所〜ごえん分校〜
学びの場であるごえん分校も引き続き開催します。今年はまちづくりの事例紹介から一歩進んで、地元からもお題をもらったり、五日市の歴史、地元の川遊び方講座など、テーマも広くなっていきます。毎月1回の頻度で開催。最新イベント情報はFaceBookで告知します。

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書き手:Eriko NARUKI(ナルキエリコ)。ごえん分校ヨソモノ代表。コンテンツデザイナー。
千葉大学工学部建築・都市科学専攻修了。広告・メディア業界にてマーケティング・コンテンツ企画・デザイン制作をおこなう。海士町”Iターンのための暮らしの手帳”制作、マンションコミュニティの企画・デザイン、再開発時のコミュニティデザインなどに携わっている。

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